平成27年度に投句された2,244句の中から選ばれました、大子町俳句ポスト年間入選句をご紹介します。
大子町俳句ポスト大賞|優秀:一般の部 / 中・高生の部 / 小学生の部
大子町俳句ポスト大賞
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〈評〉 大子の漆搔きを私も見たことがあります。山深く入り、斜面に生えている漆の木に傷をつけて漆の液体を搔き取るのです。この奥村さんの作品の「しとどに濡れて」という表現は実にその漆搔の様子をよくとらえています。草木の露、あたりに立ちこめている霧などによっていつの間にか体全体が濡れてしまったのでしょう。ふかい山に入って戻ってきた人の様子をリアルによくとらえています。(今瀬剛一) |
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〈評〉 金子さんの作品は未来への期待を感じされるところがいいですね。若い方々はこのくらいの気持ちでいなければいけません。「昨日より今日より明日」と言っていますがさらに言えば明日よりも明後日、その次の日、その次の日と未来への期待を広げているのです。このような考えでいれば多少の失敗は何も気にする必要はありませんね。読む人に力を与える作品は立派だと思います。(今瀬剛一) |
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〈評〉 軍司さんのこの作品は大きい情景をよくとらえたと思います。真剣に滝を見ていないとなかなか出来ない作品ですね。この作品はもちろん「流れ」を詠んでいるのです。瀧裾に立って鑑賞すると滝の上の一面の青空、そして全体の流れを思います。瀧の上流という考え方もあります。そうすると左右に開けて迫力が出ます。「青空と滝をつないで」とはよく言ったと思いました。(今瀬剛一) |
優秀
一般の部
木漏れ陽の清しき八溝登山口 | 中原ひそむ | 茨城県北茨城市 |
触りたきものの一つに柿若葉 | 山本敬子 | 群馬県前橋市 |
鎖場の鎖ずしりと青葉風 | 菊池洋一 | 北海道江別市 |
天空の水すべりゆく四度の滝 | 今村直美 | 愛知県岡崎市 |
小鳥来る大子の里の貯木場 | 伊香節子 | 茨城県日立市 |
寺に来て真っ先に汲む清水かな | 杉本一葉 | 茨城県鉾田市 |
ゆったりと流るる大河豊の秋 | 助川孝子 | 茨城県日立市 |
万緑の男体山を仰ぎけり | 小沼みさお | 茨城県鉾田市 |
八溝嶺の麓明るき蕎麦の花 | 笹川まさゆき | 茨城県日立市 |
林檎捥ぐ手にずっしりとその重み | 霧野萬地郎 | 神奈川県藤沢市 |
凍滝へ弾む子の声子らの息 | 飛田伸夫 | 茨城県水戸市 |
一声は感嘆となり四度の瀧 | 桜井芳子 | 長野県飯田市 |
滝音も春となりけり瀧見茶屋 | 服部はるを | 茨城県日立市 |
柿の木に梯子残して冬に入る | 中村孝道 | 茨城県常陸太田市 |
容赦なき八溝おろしに麦を踏む | 佐川まさゆき | 茨城県日立市 |
中・高生の部
たんぽぽはお日様の色好きな色 | 高野友莉 | 茨城県久慈郡大子町 |
新学期ペダルを踏んで白い靴 | 蓮寛圭吾 | 茨城県久慈郡大子町 |
山も木も人もぴかぴか春きたる | 笠井光香利 | 茨城県久慈郡大子町 |
向日葵が明るく強く咲きほこる | 白井翔太 | 茨城県久慈郡大子町 |
大根の光り輝く白さかな | 吉澤月斗 | 茨城県久慈郡大子町 |
小学生の部
風花はいったいどこから降ってくる | 飛田唯衣 | 茨城県久慈郡大子町 |
手のひらでたたいてかおるさんしょうの葉 | 菊池未咲 | 茨城県久慈郡大子町 |
ひまわりがわたしをこえてどこまでも | 仁平雪花 | 茨城県久慈郡大子町 |
倒立がやっとできたぞ運動会 | 小松快斗 | 茨城県久慈郡大子町 |
風にのりくるくるおどるイチョウの葉 | 菊池未咲 | 茨城県久慈郡大子町 |