大子町俳句ポスト 平成18年度

平成18年度に投句された約1,500句の中から選ばれました、大子町俳句ポスト年間入選句をご紹介します。

大子町俳句ポスト大賞|優秀:一般の部 / 中・高生の部 / 小学生の部

大子町俳句ポスト大賞

西金の駅舎大好きつばめ来る

〈評〉

 水郡線の「西金の駅舎」はたぶん私の記憶が間違いなければ木造の建物であったように思う。あの建物は私も好きで、以前はよく立ち寄ったものである。
 あの木造の駅であれば時期になれば燕も来るであろうし、その様子が作品から手にとるように見える。どちらかというと古い駅舎、そこに出入りする燕はより生命感に満ちて感じられる。作品から言うと「大好き」という言葉が素直に生きていて、燕が来ることを祝福しているようにとれるところもいいと思った。

(今瀬剛一)


滝見るとまわりのけしきとまってる

〈評〉

 新井さんは十五歳、中学生である。この作品は静かに滝を眺めているところがいい。きっと性格の落ち着いた、しっかりした方なのだろう。
 威勢よく落ち続ける滝の水、人はその滝を見て、「凄い」とか、「大きい」とか、「速い」とか言っているだけなのに、新井さんは「まわりのけしき」へ眼を移したのである。そして「とまっている」と思ったのである。いいところに気が付いた。威勢よく落ちる滝の周りであれば確かに「とまっている」状況を強く意識するであろう。

(今瀬剛一)


滝の音大子の空をゆらしてる

〈評〉

 松田さんは十一歳、本当に初々しいとらえ方をした。ご両親と一緒の旅なのであろうか、大子を訪れたその浮き浮きする心が「大子の空を揺らしてる」という表現を生んだのではないかと私は考える。轟音を響かせて落ちる滝、それは辺りの空気を振動させ、地面を揺すり、あたりの草花も揺らしていたであろう。作者はそこから視点を空へ移したのである。そしてその空まで揺らしているように思った。滝の音でまとめて力強い作品にしている。

(今瀬剛一)


 

優秀

一般の部

山桜またその上に山桜 菊池信也 茨城県久慈郡大子町
記憶より小さき駅舎花吹雪 酒井道子 神奈川県横須賀市
單線の長き停車や遠蛙 岡村 昭 茨城県竜ヶ崎市
濡れいろの句碑さやさやと青葉風 栗原梅子 茨城県那珂市
横笛の山に響きて田植祭 望月澄子 茨城県水戸市
吊橋に子等の声揺れ夏休 栗原梅子 茨城県那珂市
揚げ花火ずしんと腹に響きをり 無記名 茨城県久慈郡大子町
八溝嶺の水の育てし山女釣る 鈴木如佛 茨城県日立市
久慈川の水しぼり込む下り簗 阿久津勝利 栃木県宇都宮市
紅葉かつ散る瀧水の豊かなり 佐川あけみ 茨城県常陸大宮市
子の喚声りんごの風呂にひびきけり 鈴木如佛 茨城県日立市
駅までは一里のさとや野菊晴 松村律子 茨城県笠間市
杉の秀に日の残りけり冬の滝 小橋末吉 茨城県常陸大宮市
ろう梅や久慈の山々薄日さす 高橋加与子 栃木県宇都宮市
窓開けて霧の音聴く夜明前 豊田ふじを 茨城県常陸大宮市

中・高生の部

春の雪桜の蕾涙する 八木澤麻結 茨城県北茨城市
袋田の滝の流れは激しいな 坪井宏敏 神奈川県相模原市
四季ごとの顔が違うよ滝と町 小林祐司 千葉県四街道市
また少し近くなったね滝の音 伊藤まり絵 東京都豊島区
照らされた吊り橋の上青い月 伊藤まり絵 東京都豊島区

小学生の部

ツバメたち大子袋田とび回る 中島恵美 茨城県水戸市
ザーザーとふくろだのたきしゃべってる 山崎日菜子 埼玉県さいたま市
あさのひかりやねのこおりがひかってる とみやまゆかこ 茨城県水戸市
りんごぶろりんごとわたしはともだちだ とみやまゆかこ 茨城県水戸市
たくさんのはしをわたって冬のたき あさ見もわ 茨城県東茨城郡大洗町

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