大子町俳句ポスト 平成19年度

平成19年度に投句された約1,500句の中から選ばれました、大子町俳句ポスト年間入選句をご紹介します。

大子町俳句ポスト大賞|優秀:一般の部 / 中・高生の部 / 小学生の部

大子町俳句ポスト大賞

四度の滝雲の中より落ちにけり

〈評〉

 「四度の滝」とは名瀑袋田の滝の別称である。名称の謂れはいろいろあるようであるがあの高いところから四段になって落ちてくる滝の姿をこのような言葉で表現したということは確かであろう。
 この作品、頂き付近は雲か霧かがかかっていてよく見えなかったのだ。そして一段目よりは二段目、二段目よりは三段目というように下へ来れば来るほどその姿がよく見えたのである。「滝」が季語であるから、夏の滝である。勇壮に水量も豊富に落ちていたのではないであろうか。その大地を揺らす滝の音が聞こえるようである。

(今瀬剛一)


せみの声男体山にひびいてる

〈評〉

 堀江さんは十五歳の中学生である。中学生らしい素直な表現に心ひかれた。
 蝉は何蝉でもいい。読む人が自分で考えて鑑賞すればいいのである。例えばかなかな蝉を思って鑑賞してみよう。蜩はたくさん群れて、呼びあうように鳴くし、秋の蝉とされているから、心なしか男体山の姿も澄んでより凛凛しく聳えているように思えてくる。またにいにい蝉や油蝉を思うとその声は山に突きささるようにすら思えてくる。こうした作品を頭において男体山の麓を歩くのも楽しいのではないかと思った。

(今瀬剛一)


すずしいなぼくがはしると風がふく

〈評〉

 熊田さんは十一歳の小学生である。「ぼくがはしると風がふく」とはいかにも小学生らしい元気で健康的な把握だと思った。おそらくご両親と一緒にこの大子を訪れて詠んだ作品であろう。初めは一緒に歩いていたがしだいに快くなって作者は走り始めたのである。走り始めると身体全体に風を感じた。そこをよく逃さないで表現したと思う。「涼しい」は夏の季語である。おそらくは初夏、五月頃の風であろうか。どことなく読む者にまで涼しさが伝わってくるような強さがある。

(今瀬剛一)


優秀

一般の部

ずい道にひびく児の声滝の声 高屋洋子 福島県福島市
簗組みて竹に青さの増しにけり 佐川あけみ 茨城県常陸大宮市
新緑の中を突き出る男体山 三木 保 茨城県ひたちなか市
滝の上真横に雲の流れけり 中村善次郎 茨城県水戸市
里の湯の広き玄関武具飾る 海老原元彦 茨城県笠間市
ふるさとの母と見上げる花火かな 手塚由紀子 神奈川県横浜市
簗掛けになじみの顔のそろひけり 小島シン子 茨城県日立市
奥久慈の山の色どりねむの花 谷田部紀子 神奈川県横須賀市
新しき木の香の簗を渡りけり 大内頼子 茨城県日立市
発つ鳥の甲高き声瀧凍る 石平周蛙 茨城県かすみがうら市
ごろごろと店先にあり蒟蒻玉 赤尾杉昌子 茨城県稲敷市
滝凍ててけものの径の生れにけり 高野尚志 神奈川県藤沢市
奥久慈の雲ふくらませ山眠る 滝田昭二 茨城県水戸市
奥久慈の黒き山脈雁渡る 平塚利雄 茨城県北相馬郡利根町
霧深くなりゆくばかり水郡線 岡村あきら 茨城県竜ヶ崎市

中・高生の部

奥久慈の新芽が見ゆる季節かな 大内実子 茨城県那珂郡東海村
青草の中にかくれし道祖神 八木沢麻結 茨城県北茨城市
暑い夏滝の裏側別世界 蛭川裕史 茨城県久慈郡大子町
青空に高く響くよ蝉の声 蛭川裕史 茨城県久慈郡大子町
滝の水光もろとも落ちにけり 堀江美香 茨城県久慈郡大子町

小学生の部

春の空ゆっくりゆっくり雲うごく 前田里菜 茨城県日立市
ざあざあとふくろだのたきうたってる とみやまゆかこ 茨城県水戸市
手もみしてこのお茶はやく飲みたいな 小泉澄恵 栃木県大田原市
赤とんぼたくさんとぶよ八溝山 海老原 拓 茨城県竜ヶ崎市
たきの音きれいにもみじとまざりあう 天野夏織 茨城県常総市

 

 

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