大子町俳句ポスト 平成22年度

平成22年度に投句された約2,500句の中から選ばれました、大子町俳句ポスト年間入選句をご紹介します。

大子町俳句ポスト大賞|優秀:一般の部 / 中・高生の部 / 小学生の部

大子町俳句ポスト大賞

一月の音みな硬く久慈の山

 

〈評〉

大子町は周囲を山々に囲まれ、町の中心を久慈川の流れる景観のすぐれた町である。この作品はその町の様子をよくとらえていると思った。「久慈の山」はおそらく特定の山ではあるまい。周囲を取り巻いて、聳り立っている山々をその様に表現したのだと思う。そのように考えると「音みな硬く」という表現が生きてくる。生活のためにたてる音、足音でもいい、物の触れ合う音でもいい、作者はそこに硬さを感じているのである。しかしそれが「一月」ということになると、その音は一種敬虔な響きをともなってくるように思える。(今瀬剛一)

「夏来たる」入道雲がそう言った

 

〈評〉

俳句と言う文芸はその時その時の、もっと言えばその年令にしか詠めない正直な思いを書き留めておくことが何より大切なのです。したがって大人には大人の作品があるように子供には子供の作品があることもまた当然なのです。この作品はいかにも子供らしいでしょう。それも正直な自分の感情をよく表現しています。作者は夏の到来を思って、その気持ちを掘り下げてみたら、入道雲に気がついたのです。「入道雲がそう言った」と会話で表現していますが、これもまたいかにも子供らしい表現だと思いました。(今瀬剛一)

元気だな久慈川のあゆ大きいな

 

〈評〉

この作品もまたいかにも子供らしい。まず、「元気だな」という表現、ここからは読者はあらゆる対象の元気さを想像します。辺りの木々、町並み、生活する人々、河の流れ…、いかにもそれは明るいし、健康的な様子だと思います。しかし作者が本当に元気だと感じたのは「久慈川の鮎」だったのですね。つまりそこで内容がはっきりしてくるのです。しかも「元気だな」は「大きいな」という表現と呼応して読者の心に強く響いてきます。明るく大きな作品ですね。(今瀬剛一)

待ち遠しいどんな色かな菊の花

 

〈評〉

この作品もいかにも小学生らしいですね。おそらくは菊を植えているのでしょう。その思いがやがて咲く花の色にまで及んでいるところが何とも美しく感じられます。しかもその思いを何の飾り気もなく「どんな色かな」と表現しましたね。そこがいかにも子供らしくていいのです。この「待ち遠しい」という言葉も自分の本当の心から出ていますね。だから人の心を打つのです。私自身もこの句を読みながら何色だったのだろう、黄色かな、白かな、赤かなぁ…、などと考えさせられましたよ。(今瀬剛一)

 

優秀

一般の部

凍てし滝背筋伸ばして見とれけり 本郷美代子 埼玉県戸田市
八溝嶺の風の真白き花りんご 樫村陽子 茨城県日立市
段毎に水盛りあげて春の瀧 森田尚宏 千葉県鎌ヶ谷市
小生瀬の哀史を今に山眠る 岡村昭 茨城県龍ヶ崎市
青空や光となりて滝落つる 依田けう子 長野県佐久市
新緑のよさこい祭りまいん成る 菊池信也 茨城県久慈郡大子町
茶の里や和紙人形の眼の涼し 永井弘子 茨城県水戸市
吹き上ぐる風に遊べり秋の蝶 長沼誠二 茨城県常陸大宮市
まぶしさの高さとなりぬ夏の蝶 橘田多賀司 神奈川県横浜市
まぎれなく緑色なり笹子なり 桜井眞子 茨城県水戸市
吊橋を馳けて渡る子滝凍る 渡辺芳子 東京都大田区
磨かれし木造駅舎淑気満つ 大島良子 茨城県水戸市
下り簗水やはらかく立ち上り 鈴木サキ子 東京都足立区
凍結の滝まぶしくて沈黙す 山上ふみ子 茨城県神栖市
麦を踏む八溝に雪の降る前に 佐川まさゆき 茨城県日立市

中・高生の部

花びらに背中押されて新学期 鷲尾輝美 茨城県日立市
ハードルを飛び越えて吹く夏の風 小室貴弘 茨城県久慈郡大子町
赤とんぼ夕日に向かって飛んでいけ 木澤春樹 茨城県久慈郡大子町
コスモスと見上げた空に観覧車 堀江隆弥 茨城県久慈郡大子町

小学生の部

ふきのとうしずかに春をまつばかり 中村和人 茨城県久慈郡大子町
雪だるま小さな命生まれたよ 清水梨沙 茨城県久慈郡大子町
雪かぶりプールに落ちてきえてゆく 豊田実来 茨城県久慈郡大子町
さかなからうなぎにかわったあきのくも 清水里奈 茨城県常陸大宮市
雪だるま私がいくまでとけないで 町島純奈 茨城県久慈郡大子町

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