大子町俳句ポスト 平成24年度

 平成24年度に投句された約2,400句の中から選ばれました、大子町俳句ポスト年間入選句をご紹介します。

大子町俳句ポスト大賞|優秀:一般の部 / 中・高生の部 / 小学生の部

大子町俳句ポスト大賞

あり余る力で落つる春の滝

 

〈評〉

いかにも「春の滝」らしい力強さが感じられる。上流に降り積もっていた雪が解けたりするとその水が滝本体の水と合流をして、水量を増して強く落ちてくるのである。「あり余る力」という表現が滝幅いっぱいに落ちている滝をよく表していると思った。また句の形式がその力強さを支えているところも見逃してはなるまい。「あり余る力」、「落つる」、「春の」が全て「滝」に掛かっているのだ。一気に言い下した手法が潔い。(今瀬剛一)

生まれ出て鳴けるだけ鳴け森の蝉

 

〈評〉

しっかりとした作品であると思った。作者はここで「生まれ出て鳴けるだけ鳴け」と、蝉に対して叫んでいる。もちろんこれは「蝉」に対する呼び掛けの表現である。ただ何回も繰り返して読んでいるとこの言葉は単なる蝉を越えて、全ての生きものに対する声援のように聞こえてくる。この世に生まれたからには精一杯鳴け、力強く生きよと叫んでいるように感じ取れるのである。いかにも力強い生命の賛歌と私は受け取りたいと思う。(今瀬剛一)

鰯雲みんな集まり楽しそう

 

〈評〉

鰯雲をよく見ていますね。おそらく見ているうちにその固まり方が「みんな集ま」っているように見えてきたし、「楽しそう」に思えてきたのではないでしょうか。それをそのまま素直に表現したところがとてもいいのです。俳句は世界で一番短い詩ですから読む人にいろいろのことを感じさせなければなりません。作者はあくまでも「鰯雲」を詠んだのですが「みんな集まり楽しそう」は人間の姿としても読み取れるのです。(今瀬剛一)

 

優秀

一般の部

きらきらと鳥さかのぼる春の滝 荏原徹 茨城県日立市
八溝嶺の遍路励ます遅桜 菊池宗之 東京都世田谷区
いつもより近くに雪の生瀬冨士 佐川まさゆき 茨城県日立市
八溝嶺の裾は菜の花真っ盛り 鷲尾行弘 茨城県日立市
西行の詠ひし滝をまのあたり 内海良太 千葉県佐倉市
御神田常陸の果ての田植歌 小口一郎 茨城県ひたちなか市
秋蝉も親し同行二人かな 坂本和加子 埼玉県加須市
秋日透く滝の裏より滝を見て 大島良子 茨城県水戸市
後から前から八溝おろしかな 佐川まさゆき 茨城県日立市
錆鮎の空に風あり瀬音あり 寺門勇治 茨城県日立市
つり鐘の音澄み渡り寒桜 川又ただし 茨城県水戸市
落鮎に酌む奥久慈の地酒かな 大島良子 茨城県水戸市
通路まで陣取る野菜小鳥くる 永井弘子 茨城県水戸市
ぷかぷかと双手に掬ふりんご風呂 酒井道子 神奈川県横須賀市
冬滝の芯まで凍てて直立す 荒井禮子 茨城県高萩市

中・高生の部

天道虫赤いベストが似合ってる 飯岡綾菜 茨城県久慈郡大子町
のんびりとゆっくり動く春の雲 岡野昂汰 茨城県久慈郡大子町
向日葵が胸張るように咲いている 仲野雅 茨城県久慈郡大子町
静けさが辺りを包む雪の朝 蓮實拓真 茨城県久慈郡大子町
霜柱踏むため少し遠回り 菊池天都也 茨城県久慈郡大子町

小学生の部

桜咲き中学生への第一歩 木村ひより 茨城県久慈郡大子町
新緑にかこまれている四度の滝 小室紗耶佳 茨城県久慈郡大子町
ザーザーとせみの声消す滝の音 冨山祐香子 茨城県久慈郡水戸市
とんぼの目いろんな色できれいだね 滝田康貴 茨城県久慈郡大子町
ふきのとうゆきのしたからこんにちは 益子夏綺 茨城県久慈郡大子町

 

 

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