大子町俳句ポスト

大子町俳句ポスト年間入選句をご紹介します。

大子町俳句ポスト年間入選句令和5年度

一般の部

大賞

〈評〉
中原さんは山の天気の変わる速さを力強くとらえています。今まで一点の雲もなく晴れ渡っていたのかも知れません。それが雲が湧いたと思ったら忽ちそれは「雲の峰」となって立ち上がったのです。「忽ち」と言う一語に力があります。その雲が何か空全体にのし掛かって、雷雨をもたらしそうな感じさえ抱かせます。それでも「八溝山」は堂々と、不動の存在として聳えつづけているのです。 (今瀬剛一)

優秀賞

新緑に映えし師の句碑凛として ／船木いち江(茨城県北茨城市)
雨後の滝歓声上がる滝見台 ／鈴木忠誠(茨城県久慈郡大子町)
小屋中に湯気を烟らせ楮剝ぐ ／奥村雄治(茨城県笠間市)
新緑の男体山遠く新庁舎 ／菊池道子(神奈川県平塚市)
奥久慈や空の青さに林檎熟れ ／細田秋水(東京都立川市)
久慈清流鮎の遡上の確かなり ／小口隆光(茨城県常陸大宮市)
風花を背に凍蒟の裏返し ／佐藤史郎(茨城県久慈郡大子町)
夏野菜色鮮やかに道の駅 ／小野瀬保(茨城県ひたちなか市)

若鮎の跳ねて久慈川煌めけり ／鈴木盛雄(茨城県常陸太田市)
奥久慈の懐やさし蕎麦の花 ／藤田恵美子(茨城県久慈郡大子町)
茶の里の俳句ポストや陽の温し ／照沼朗男(茨城県那珂郡東海村)
楮蒸す匂ひの中に楮剥く ／飛田伸夫(茨城県水戸市)
師の句碑に春の蝶ゐて良き日和 ／桜井眞子(茨城県水戸市)
来賓も一句披露や初句会 ／大山とし子(茨城県小美玉市)
冬の滝見上げる母を支へけり ／佐川まさゆき(茨城県日立市)

中・高生の部

大賞

〈評〉
鴨志田さんは静かに卒業式の日の様子を表現しています。卒業式では呼名をされ、卒業証書を戴きました。校長先生のお話も聞きました。先生や友人との別れの言葉も交わしたことでしょう。そしてみんなに送られて帰途につきました。ふと気がついてみると今歩いている通学路ももう最後なのですね。「最後に通る通学路」という言葉には作者の万感の思いが込められていると思いました。(今瀬剛一)

優秀賞

万緑を涼しく染める滝の音 ／河邉宏太(神奈川県川崎市)
教室を巣から見守るつばめ達 ／益子花恋(茨城県久慈郡大子町)
春風が私の背中そっとおす ／加藤碧乃(茨城県久慈郡大子町)

乗ることはできぬ鰯の大船や ／小橋玄(茨城県久慈郡大子町)
見上げるは動きを止めた白き滝 ／菊池雅翔(茨城県久慈郡大子町)

小学生の部

大賞

〈評〉
秋の空いっぱいに飛んでいる「赤とんぼ」、藤田さんはその飛び方を確かにとらえています。「なかよくとんで」というところです。赤とんぼは並んで飛んでいるのでしょうね、あたたかい表現だと思いました。そして藤田さんはさらにその赤とんぼに、「どこへゆく」と問いかけています。そこがまたとてもいいのです。赤とんぼと一緒になっている様な優しい心に関心致しました。(今瀬剛一)

優秀賞

たんぽぽをつんできたよとプレゼント ／荷見龍輝(茨城県久慈郡大子町)
夏つばめまたきてくれてうれしいな ／藤田凛子(茨城県久慈郡大子町)
梅の花満開に咲く祖母の家 ／根本獅凰(茨城県久慈郡大子町)

秋風と遊んでいるよコスモスが ／和田結翔(茨城県久慈郡大子町)
赤とんぼ高いところが好きなのね ／荒蒔花音(茨城県久慈郡大子町)

過去の入選句

皆様からの作品を募集しています

大子町は、自然豊かな山々と温泉、そして久慈川の清流など、素晴らしい資源に恵まれており、多くの俳句愛好者の方々にご来町いただいています。
自然の中での甘い語らい、美味しい郷土料理、四季折々の産物との出会いなど、その様々な情景を気軽に詠んでいただけるよう、町内15箇所（学校関係を除く）に投句箱を設置して作品を募っています。
皆様から投句いただいた作品は、年間三回にわたり選句し、その中から特に優秀である年間入選作品を句集として纏め広く配布し、多くの方々に親しまれ愛読されています。俳句の約束、五、七、五のリズムに乗せて、感じたままをいっぱい詩って奥久慈大子をより一層賑わせてください。