大子町俳句ポスト年間入選句令和元年度

一般の部

大賞

〈評〉
大子町は林檎の生産、南限の地とも言われています。町内にはたくさんの林檎園があり、春には白い花がそこここに咲き乱れ、秋には赤く色づいた実が印象的でもあります。奥村さんのこの作品は秋の大子付近の駅をよくとらえています。「林檎の見ゆる駅」という表現が風景をよくとらえているのです。奥村さんはたわわに稔る林檎に迎えられた様な思いになったのではないかと思いました。（今瀬剛一）

優秀賞

新緑に包まれ大滝轟けり ／六車紀子(奈良県奈良市)
天つちを繋ぐ雛段日本晴 ／佐川あけみ(茨城県常陸大宮市)
ブナの森風も冷たし八溝山 ／宮田國敬(茨城県久慈郡大子町)
霜柱八溝山へと続く道 ／鈴木恵一(福島県東白川郡矢祭町)
きっちりと剪定整列茶の木群 ／照沼朗男(茨城県那珂郡東海村)
朝日さす観瀑台も凍りけり ／小口隆光(茨城県常陸大宮市)
菜の花のその先遠く生瀬冨士 ／佐川まさゆき(茨城県日立市)
滝しぶき全身に浴び精氣満つ ／鈴木吉朗(静岡県磐田市)

山向こふは母の故郷ねむの花 ／渡部厚子(東京都杉並区)
連山の青の重なり花煙草 ／酒井道子(神奈川県横須賀市)
手で割りて呉れし味見の林檎かな ／平野暢行(栃木県宇都宮市)
軒先の大根揺れて母想う ／川上廣正(茨城県常陸太田市)
神鈴のひびかふ山の粧へり ／永山憲子(茨城県那珂市)
月居の上へ上へと紅葉踏む ／藤田恵美子(茨城県久慈郡大子町)
氷瀑を磨く風くる滝見茶屋 ／益子葦穂(茨城県久慈郡大子町)

中・高生の部

大賞

〈評〉
大森さんは大子南中の三年生です。いかにも中学生らしいしっかりとした作品だと思います。大森さん自身の住んでいるこの大子町を「林檎輝く大子町」と表現しました。大森さんは自分の住んでいるこの町を誇りに思っているのです。だからこそ「輝く」という言葉が生まれたのでしょう。大森さんは秋の澄んだ空気の中、真っ赤に稔る大子町を胸をはって全国に発信しているのです。（今瀬剛一）

優秀賞

春の風いろんな匂いをのせてくる ／横山凛(茨城県久慈郡大子町)
ひまわりが太陽めがけて咲いている ／飯岡里美(茨城県久慈郡大子町)
たんぽぽが太陽みたいに咲いている ／梶雪菜(茨城県久慈郡大子町)

灯籠に魂宿り流れてく ／菊池葉月(茨城県久慈郡大子町)
滝裏で気合いがひびく初げいこ ／湯口美優(茨城県久慈郡大子町)

小学生の部

大賞

〈評〉
佐藤さんは十一歳と聞きます、だいご小学校の五年生か六年生だと思います。ふつう木枯らしというのは寒くていやですよね。それを佐藤さんは「風花のせてやってきた」と明るく受け入れています。とても子供らしく元気な表現だと思いました。とくに「やってきた」という表現、これはちょうどお話する様な表現ですね。（これを「口調語」と言うのですが）この表現がとてもよく生きています（今瀬剛一）

優秀賞

すごいたききゅうなさかみちたのしいな ／瀬戸渉(神奈川県相模原市)
一年生たくさん友だちできるかな ／渡邉和(茨城県久慈郡大子町)
ぬかされた私の身長ひまわりに ／神長寧心(茨城県久慈郡大子町)

チューリップ一年生を出むかえる ／黒田万偉歌(茨城県久慈郡大子町)
ふきのとうすがたをみせてこんにちは ／植田陸生(茨城県久慈郡大子町)

過去の入選句

皆様からの作品を募集しています

大子町は、自然豊かな山々と温泉、そして久慈川の清流など、素晴らしい資源に恵まれており、多くの俳句愛好者の方々にご来町いただいています。
自然の中での甘い語らい、美味しい郷土料理、四季折々の産物との出会いなど、その様々な情景を気軽に詠んでいただけるよう、町内15箇所（学校関係を除く）に投句箱を設置して作品を募っています。
皆様から投句いただいた作品は、年間三回にわたり選句し、その中から特に優秀である年間入選作品を句集として纏め広く配布し、多くの方々に親しまれ愛読されています。俳句の約束、五、七、五のリズムに乗せて、感じたままをいっぱい詩って奥久慈大子をより一層賑わせてください。