大子町俳句ポスト年間入選句令和4年度

一般の部

大賞

〈評〉
大子町にはたくさんの滝があります。袋田の四度の滝、月待の滝、生瀬の滝…どの滝を思って鑑賞してもいいと思います。夏の緑の芳しい時期に菊池さんは大子を訪れたのでしょう。豊かに緑に囲まれた滝、この滝はその緑の中を落ち続けているのだと思いました。｢万緑の深き底｣という情景描写が見事ですね。その情景への感動が下五の聴覚的把握を得てさらに深まりました。(今瀬剛一)

優秀賞

さへづりや胸張つて視る四度の滝 ／水野亮(茨城県日立市)
天上の蒼を引き込み滝凍つる ／浜なつ子(神奈川県逗子市)
この先に一軒のこる漆掻き ／奥村雄治(茨城県笠間市)
久慈川の蛇行豊かに麦の秋 ／平野暢行(栃木県宇都宮市)
奥久慈はふる里のやう温たかし ／船木いち江(茨城県北茨城市)
大子町木の香漂う新庁舎 ／鈴木忠誠(茨城県久慈郡大子町)
凍滝の内なる黙の力かな ／平岡丈子(栃木県那須郡那須町)
秋深し鎮まりかえる生瀬富士 ／小野瀬保(茨城県ひたちなか市)

男体山を芯から揺らす蝉時雨 ／西形勝雄(栃木県塩谷郡高根沢町)
奥久慈に生きて耕す余生かな ／佐川まさゆき(茨城県日立市)
空青く彩る紅葉男体山 ／鈴木盛雄(茨城県常陸太田市)
花筏崩さぬように露天風呂 ／藤田恵美子(茨城県久慈郡大子町)
奥久慈の山もしづかに冬に入る ／藤田恵美子(茨城県久慈郡大子町)
五月雨や飛沫豊かに四度の滝 ／佐藤史郎(茨城県久慈郡大子町)
夏霧の久慈の葦原行々子 ／佐藤史郎(茨城県久慈郡大子町)

中・高生の部

大賞

〈評〉
小松さんの通学路はたんぽぽの可愛らしく咲いている道なのですね。その道を通学しながら｢たんぽぽの色が眩しい｣と思いました。そしてそれをそのまま表現したのは立派です。特に「眩しい」という表現が生きています。空は晴れていたことでしょう、小松さんの心も明るく期待感に満ちていたのではないかと思います。作品から中学生らしい柔らかい感性を感じとりました。(今瀬剛一)

優秀賞

快晴の桜舞散る今日の道 ／齋藤大翔(茨城県久慈郡大子町)
春風にゆらゆら揺れる私たち ／藤田和花(茨城県久慈郡大子町)
久慈川にきらきら光る鮎の群 ／大石愛深(茨城県久慈郡大子町)

縁側で風鈴が鳴り吹き抜ける ／笠井祐太(茨城県久慈郡大子町)
竹林できらりと光る蛍かな ／萩庭琉聖(茨城県久慈郡大子町)

小学生の部

大賞

〈評〉
全体をひらがなで表現していますから一年生かも知れませんね。特に｢みんなをあかるく｣ととらえた所が立派です。神永さんは心の広い人だと思いました。自分だけじゃない、お月様はみんなを照らしているのです。しかも「あかるく」ですね。このあたたかい心に私は心打たれました。俳句ではこの様に自分の感じたこと、そのまま素直に表現することが大切なのです。(今瀬剛一)

優秀賞

冬の夜星がひらひら光ってる ／小野瀬愛莉(茨城県久慈郡大子町)
かたつむりからをお家にしていたよ ／小口晏睦(茨城県久慈郡大子町)
たんぽぽがやさしい母ににているね ／長岡美咲(茨城県久慈郡大子町)

はくいきでSLのまねふゆのあさ ／生井澤芭央(茨城県久慈郡大子町)
秋の山心落ちつくいい色だ ／髙安颯太(茨城県久慈郡大子町)

過去の入選句

皆様からの作品を募集しています

大子町は、自然豊かな山々と温泉、そして久慈川の清流など、素晴らしい資源に恵まれており、多くの俳句愛好者の方々にご来町いただいています。
自然の中での甘い語らい、美味しい郷土料理、四季折々の産物との出会いなど、その様々な情景を気軽に詠んでいただけるよう、町内15箇所（学校関係を除く）に投句箱を設置して作品を募っています。
皆様から投句いただいた作品は、年間三回にわたり選句し、その中から特に優秀である年間入選作品を句集として纏め広く配布し、多くの方々に親しまれ愛読されています。俳句の約束、五、七、五のリズムに乗せて、感じたままをいっぱい詩って奥久慈大子をより一層賑わせてください。